レーザ溶接と短パルスレーザの関係

レーザ溶接は、その高い精度と制御性により、微細な部品を結合させる手法として広く使用されています。レーザの観点からすると、短パルスレーザは、その特異な性能から微細レーザ溶接において先進的な技術と言えます。この記事では、レーザ溶接における短パルスレーザの役割と利点について解説します。

短パルスレーザの特徴

短パルスレーザは、非常に短いパルス幅を持つレーザです。通常、数ナノ秒から数百ナノ秒のパルス幅を持つレーザの事を指します。この短いパルス幅により、レーザのエネルギーが非常に短時間だけ高強度で照射されます。

従来のレーザは、連続的に発振し続けるものであったり、パルス幅がマイクロ秒やミリ秒と長いものが多くありました。しかし、近年の技術の進歩で、短パルスレーザに分類されるナノ秒レーザや、超短パルスレーザと言われるピコ秒、フェムト秒レーザが開発され、産業応用されるようになってきました。

短パルスレーザの溶接応用の利点

短パルスレーザは、さまざまな特長があります。この技術を微細溶接に応用したときの利点は次の通りです。

  1. 小さな熱影響:短パルスレーザは、熱影響の領域(HAZ)が非常に小さいです。熱エネルギーを非常に短い時間だけ集中して照射させるため、溶接部周辺の HAZ を最小限に抑えることができます。これにより、微細な部品の溶接においても熱変形や材料の劣化を最小限に抑えることができます。
  2. 高い制御性: 短パルスレーザは非常に高い制御性を持ちます。パルス幅や出力を微調整することで、溶接プロセスのパラメータを細かく調整することができます。これにより、微細な溶接シームの作成や特殊な材料への対応が可能となります。
  3. 高い精度: 短パルスレーザは高い熱生成精度や照射位置精度を実現できるため、微細な部品の溶接に適しています。溶接シームの幅や深さ、及び、その位置を正確に制御することができます。
  4. 材料の広範な対応性: 短パルスレーザは、様々な材料に対応することができます。金属、プラスチック、セラミックスなど、さまざまな材料に対して高品質な溶接を実現することができます。また、波長を適切に選択することで、その効果はさらに高まります。

まとめ

短パルスレーザは、レーザ溶接において熱影響ゾーンの最小化、高い制御性、高い精度、および広範な材料の対応性を提供します。微細な部品の溶接において特に効果的であり、高品質な溶接を実現することができます。

参考文献:

  1. “Laser Welding 101: A Beginner’s Guide”, MachineMfg
  2. “Micro Welding: What You Need To Know [2023]”, Welding Central

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